観察力
コミュニケーションの基本
「システムエンジニアの仕事にはコミュニケーション能力が不可欠」と良く言われていますが、そもそもコミュニケーション能力とは何でしょうか。コミュニケーションとは双方向の伝達によって成り立ちます。一方的に伝えるだけではコミュニケーションは成立しません。相手からの発信を的確に受け取る力も必要になります。コミュニケーション能力を磨くためには、伝える力と受け取る力の両方を磨かなければならないのです。受け取る力を磨く上で役立つのが観察力です。
観察力の意味
観察力とは、読んで字のごとく「観察する力」です。ただ、見たり眺めたりするだけでは観察にはなりません。「観察」という言葉を辞書で調べると、「物事の状態や変化を客観的に注意深く見ること」と記載されています。つまり観察とは、よく見ることによって変化に気付けるかどうかがポイントだと考えて良いでしょう。
観察力アップのコツ
観察力のトレーニングは、周囲の人に興味を示すことから始まります。顔の表情や視線の方向、話し方や言い回しの癖、感情の動き、呼吸の様子、姿勢やしぐさ、声の大きさや話すテンポなど、五感をフルに働かせてしっかりと見て聞いて感じてください。そして変化を見つけます。変化を見つけるためには、継続して注意を払うことが大切です。感情に大きな動きがあれば変化は比較的簡単に見つかるはずです。そうして変化を見つけることを習慣化することで観察力が鍛えられます。観察力をトレーニングしていくうちに、それまで気付かなかった些細な変化にも気付くようになるでしょう。その中には「なんとなく違和感がある」、「いつもと何かが違う気がする」など、感覚的なものや直感的なものも含まれると思います。そのような漠然とした変化を感じた場合は、なにがそう感じさせているのかという原因を突き詰めてみることでより観察力が鍛えられていきます。
観察力を鍛えるメリット
観察力を鍛えることで、コミュニケーションに必要な「受け取る力」がアップします。いつでも本音をさらけ出して言葉として伝えてくれる人などほとんどいませんから、言葉以外の発信を受け取る力が重要なのです。声に出さない本心は、ジェスチャーや表情、視線の動きなどに表れます。その変化を敏感にキャッチすることで、次のコミュニケーション戦略を立てる手がかりも得られます。
具体的にビジネスシーンに置き換えるなら、チームメンバーの変化にいち早く気付き何らかの対応を施したり、プレゼンや交渉のシーンで相手の反応を読みながら打つ手を変えられるなど、観察力を鍛えることで数々のメリットを得られます。